北欧家具の講師

デンマークにある木工技術デザインセンターでは、北欧家具の講師がたくさんいまして、短期の特別講師として授業を開いてくれる先生もいるくらいでして、その中でも私が最も興味を持ったのが木工旋盤の授業でして、これは材料を回転させながら家具となる材料を機械に当てて加工するもので、ロクロをイメージすると分かりやすいと思います。

私の親戚のおじさんも家具を作る職人なので、たまに顔を出して手伝わせてもらっていたので経験したこともあったのですが、デンマークでの北欧家具職人としても働いている先生の実演を見て驚かされた事があり、私が常識としていたことが打ち砕かれました。

私の場合は、粉のような削りかすが出るのですが、先生の場合はリンゴの皮を剥くようにして家具を加工しており、削った後を見ると長く麺のように繋がっていました。

使っている機械が違うのかとも思えるような技術でして、まったく同じ材料で、同じ刃物を使っているはずなのに、加工した家具の表面はキレイでして、輝いているようにも見えましたし、人の技術と言うものは磨けば凄いものになるのだと、まざまざと見せつけられ、これまで正しいと思い込んでいた刃の角度や刃の当て方は根本的に間違っていたことになり、それを見の前で見てしまったのですから、正直なところ愕然としました。

初めての事でしたので、先生から改善点を教えてもらい、もう一度、北欧家具の基盤を作り始めたのですが、今までの自分の癖というものがついてしまっており、何度も「違う」と指摘されながら繰り返して体に覚えさせようとしましたが、一度クセが付いてしまうとなかなか抜け出せないものでして、短期の特別講座の4日間は同じことの繰り返しでして、終業までに何とか感覚ぐらいまでは掴めるようになってきたので、後は継続して正しいスタイルを身につけられるようになるまで、繰り返して体で覚えるのです。

木工旋盤を活用した北欧家具

木工旋盤を活用した北欧家具の作り方の基礎的なことを教わってから、先生の得意としているお椀づくりを最後の課題として出されまして、水を含んで切る木材から作り上げる事になったのですが、北欧家具の職人としても働いている彼ですので、わずか10分ぐらいでお椀を削り出しており、あまりの手際の良さに驚いたのですが、きっと彼の頭の中には既に形が見えており、それを形作る繊細な動きをする事が出来るわけで、それを傍で見ていた私は、あっという間にお椀の形に加工されていく様子をみて、なんだか気持良かったですし、迷いのない動きに爽快さを覚えたくらいです。

この領域にたどり着くまでには、どれくらいの時間が掛かる物なのかとも思いましたが、それを気にし過ぎると、無駄にプレッシャーを感じてしまいそうだったので、あえて聞かなかったのですが、あまりの技術の差が大きい事に打ちひしがれてしまい、今までの自分を責めたくもなりましたが、先生も今の領域にたどり着くまでには様々な努力をしたのでしょうし、前に進み続けたからこそ現在があるのですから、それを考えられるようになってからは、興奮も覚えて将来の自分の為に頑張ることに決めました。